JAIST産学官共創フォーラムでは、その時々の旬なテーマをもとに先端科学技術情報をお届けする定期講演会を行っています。
令和7年度1回目の定期講演会は、
「問い直し」から生まれるイノベーション 〜 ビジネス人類学と老舗企業の挑戦 〜
をテーマに、北陸先端科学技術大学院大学 教授 伊藤 泰信 氏と三和物産株式会社 代表取締役社長 西河 誠人 氏にご講演いただきます。
JAIST産学官共創フォーラム会員のみなさまだけではなく、一般のみなさまはオンラインでご参加いただけます。
JAIST産学官共創フォーラム・令和7年度 第1回定期講演会
日 時:2025年 7月 3日(木)16:00 〜 18:00
場 所:オンライン(Zoom)
定 員:50名
参加費:無料
申込み:以下の申込みフォームよりお申し込みください。
申込期限:2025年6月30日(月)
JAIST産学官共創フォーラム会員の方(15時から総会があります)
一般の方(会員以外)
1.講演テーマ
「問い直し」から生まれるイノベーション 〜 ビジネス人類学と老舗企業の挑戦 〜
2.開催概要
当たり前を問いなおす視点が、新たな価値創出の起点になる ―― 既存の価値観や前提の問い直しの重要性が指摘され始めています。企業は、既存の事業や技術を「深化」させることに力を入れる傾向がありますが、新規事業の創出には「探索」の姿勢が欠かせません。「探索」とは、試行錯誤を通じて未知の価値や可能性を見出していく営みであり、その鍵となるのが前提や価値観の「問い直し」です。本講演では、ビジネス人類学の視座と老舗企業の実例をもとに、「問い直し」を通じて新たな可能性を切り拓く方法を探ります。
3.講演
講演1:問い直しの視座としての「馴質異化」 〜 サービスデザインと人類学の実践 〜
講演者:北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科
教授 伊藤 泰信 氏
概要:
組織のあり方や製品・サービスのデザインといった企業の実務を対象にビジネス人類学/ビジネスエスノグラフィ(Business Anthropology/Ethnography)を20年近くにわたり実践してきました。企業は、目の前にある事業や技術をより効率的に改善し、深めることに力を入れがちであり、それを得意としています。しかし新規事業の創出には、それだけでなく探索(Exploration)の姿勢が不可欠です。「探索」とは、試行錯誤を通じて未知の価値や可能性を見出していく営みであり、その過程では既存の価値観や前提を問い直すことが鍵となります。文化人類学の「当たり前」を問い直す視座「馴質異化」(じゅんしついか)は、まさにそうした探索の出発点となり、新たな価値を切り拓く可能性を持っています。本講演では、文化人類学の視座を手がかりに、探索的なアプローチについて議論します。
経歴:
文化人類学やエスノグラフィの実務応用(ビジネス人類学・ビジネスエスノグラフィ)を15年以上にわたって牽引。企業や企業研究所との共同研究に加え、エスノグラフィ研修や医療者向けの人類学教育も積極的に行っている。主な著作に『先住民の知識人類学』(2007年)、「エスノグラフィを実践することの可能性」『組織科学』51(1):30-45(2017年)など。日本学術会議 第一部会員、日本文化人類学会理事、英国ロンドン大学UCL客員研究員、米国パロアルト研究所(PARC)訪問研究員、藤田医科大学客員教授などを歴任。第7回日本オセアニア学会賞、科学技術社会論・柿内賢信記念賞実践賞(2017年)などを受賞。
講演2:今までのやり方や常識を問い直す 〜 死生観のリデザイン 〜
講演者:三和物産株式会社
代表取締役社長 西河 誠人 氏
概要:
葬祭用品メーカーとして試行錯誤を重ねる私たちは、業界の当たり前や常識を問い直してきました。大企業でもベンチャー企業でもない老舗の中小企業が、社員の「それって本当に必要?」という素朴な疑問を起点に、商品づくりやサービスを磨き直した実体験を共有します。問いかけのコツや、現場での小さな試行錯誤をどう生み出すのか ―― 三和物産の挑戦をご紹介します。
経歴:
金沢大学卒業後、複数の企業で経験を積み、2018年に三和物産の社内ベンチャーとして株式会社リクラを創業、2023年に三和物産株式会社の代表取締役に就任。死や別れがタブー視される傾向にある日本の現状に対して、『死生観のリデザイン』を掲げ、死から生をポジティブに考えてもいい社会をつくることを目指している。 代表的な取り組みに、「死ンキング展」「雲もなか」「ひつぎひつじ」「ラストベッド」「Rotch」「kimonoyarn」など多数。
主催:一般社団法人JAIST支援機構
後援:国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
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